〈ミュージシャンズ・ミュージシャン〉-この称号で呼ばれることはどんなミュージシャンにとっても至上の喜びを感じるに違いない。そしてそれはミュージシャンとして〈ヴァーチュオーゾ〉、もしくは〈マエストロ〉、つまり〈巨匠〉と呼ばれる域に達したからである。アラン・ホールズワースもそんな〈巨匠〉の域に達した数少ないミュージシャンであり、ギタリストの⼀⼈である。そんな彼の数々のアルバムをハイブリッドSACDでリリース︕
ロサンゼルスをベースとした新興インディ・レーベルのエニグマ・レコードは、ストライパー、スレイヤーといったHM/HRアーティスト、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ディーヴォといったオルタナティヴ・ロック・アーティストなどを数多く擁しヒット・アルバムを連発、1980年代のアメリカン・ミュージック・マーケットでは注目の的であった。
そのエニグマ・レコードが新たなジャンルとして目をつけたのがプログレッシヴ・ロックであった。その第⼀弾として契約するのがヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのピーター・ハミル。そして第⼆弾がアラン・ホールズワースであった。エニグマ・レコードはメジャー・レーベルとは異なり⼝出し無⽤が信条なだけにホールズワースは⼗分な時間をかけてニュー・アルバム『メタル・ファティーグ(原題︓METAL FATIGUE)』の制作に⼊る。
レコーディング・メンバーは、前作に参加したチャド・ワッカーマンとポール・ウィリアムス。またジェフ・バーリンに代わって参加したジミー・ジョンソンとゲイリー・ウィリス。
そしてニュー・トニー・ウィリアムス・ライフタイム時代に活動を共にしたアラン・パスクァと『I.O.U.』に参加したゲイリー・ハズバンド。“⾦属疲労”なるタイトルとなったこのアルバムは前2作に比べロック色がより強くなり、プログレッシヴ・ロック的な大作も収録され、ホールズワース・ファンの強い支持を得る作品に仕上がっている。
ハイライトは、ホールズワースがベスト・チューンのひとつとして挙げる「デヴィル・テイク・ザ・ハインドモスト」と、大作「ジ・アン・メリー・ゴーラウンド」。前者はこのアルバムのリリース前年に⾏われた初来日公演でも披露されたもので、ホールズワース独特のコード構成に導かれ、ソリッドかつテクニカルなギター・ソロをたっぷり堪能できる彼の真髄が凝縮されたナンバー。
そして後者はそれぞれのパートの静と動が微妙な構成で⼀体化された14分ものインストゥルメンタル大作で、プログレッシヴ・ジャズ・ロックと呼べる仕上がり。ちなみにこの楽曲のアウト・テイクス2曲は『ウォーデン・クリフ・タワー(原題︓WARDENCLYFFE TOWER)』(1995年、2007年再発盤)にボーナス・トラックとして収録されている。
■参加アーティスト
アラン・ホールズワース (g, vn)、 ポール・ウィリアムス (vo) *Track1, 4、 ジミー・ジョンソン (b) *Track1-4, 6、 チャド・ワッカーマン (ds) *Track1-4、 ゲイリー・ウィリス (b) *Track5、 ゲイ
リー・ハズバンド (ds) *Track5、 アラン・パスクァ (kbds) *Track5、 ポール・コーダ (vo) *Track6、 マック・ハイン (ds) *Track6
■収録曲
1 Metal Fatigue
2 Home
3 Devil Take The Hindmost
4 Panic Station
5 The Un-Merry-Go-Round (In Loving Memory Of My Father)
6 In The Mystery
(IAC Music Japan/Gen) IACD30023 SACDハイブリッド
*E式シングル限定紙ジャケット仕様〈ライナーノーツ付〉
*SACDハイブリッド (通常のCDプレーヤーおよびSACD対応プレーヤーの両方で再⽣可能。対応プレーヤーではSACDの高⾳質がお楽しみいただけます)