石川晶が深く、鋭くジャズを抉(えぐ)る。研ぎ澄まされたグルーヴの波頭で繰り広げられる真剣勝負。混沌の時代、新たな扉を開いた歴史的名盤。
1970年、ジャズ・ロック街道のど真ん中を邁進していた石川晶が、混沌とした時代の空気を見据え“その先のジャズ”に挑んだ意欲作。言うなれば、石川晶が最も深く、鋭くジャズを抉(えぐ)った瞬間、それが本作『エレクトラム』だ。
研ぎ澄まされたグルーヴのなか、鎬を削りながら高みへと駆け上るミュージシャンたち。暴風が駆け抜けるような大作「Electrum」、いくつものベクトルが複雑に交錯する「Revulsion」、澄明な夜明けを思わせる美曲「Speak Under My Breath」など、息を吐く暇もない密度で迫る。佐藤允彦と鈴木宏昌、ふたりの天才ピアニスト/作・編曲家の参加も見逃せない。
石川晶の最高傑作との呼び声も高い作品がここに甦る。ビクター<日本のジャズ>シリーズの1枚。
text by 尾川雄介(UNIVERSOUNDS / DEEP JAZZ REALITY)
トラックリスト:
Side A
1. Electrum
Side B
2. Revulsion
3. Speak Under My Breath
4. The Eyebrow
(VICTOR) NJS-800 LP 【レコードの日】2024年11月3日(日)