再び降臨した「至上のトリオ」。緊張感と美しさに溢れた超ハイレベルのインタープレイ。VIRET TRIOを超えられるものは、TRIO VIRET+のみ。
結局、世の中は不公平に出来ている。何にスポットライトが当たり、それがどう評価されるのかについては、フェアである、ということは原則あり得ない。殊に昨今のような情報化がなされるようになると、情報発信の段階で、そもそも何が取り上げられるかということについて、大きなバイアスが働く。世間の狭いジャズで、ロビイングもないだろうが、Robert Glasperの新作なら何でも取り上げられる、といったような事はどうしようもなくある訳だ。何が言いたいのか?本当に評価されるべきが、まま置き去りにされる、ということだ。
今回、澤野工房が取り上げたのはJean-Philippe Viretの新作だが、サワノが彼のアルバムを最初にリリースしてから実に20年以上が経過していることに驚いた。時日の飛び去る速さに驚き、その間、この類稀なアーティスト(達)とその音楽が、まともに評価されてこなかった事実に驚く。本邦初登場時のアルバムConsiderationsの段階で、既にその完成度は瞠目するしかないものだった。楽曲そのものとソロの有機的結合、演奏者が一体となって、「作品としての演奏」を作り上げる様は、それまでのピアノ・トリオの歴史を呑み込みながら、更に一歩先んじた極北の音楽だ、と、筆者には思えた。しかし、それに相応しい評価に彼らが浴してきたとはとても思えない。新作は、Viretが組んで来た二つのトリオ(dsのみが入れ替わった歴史だが)がひとつになり、あるいはそれぞれに、かつてのマテリアルも含めて演奏した、言わば集大成的作品だ。
彼らのみが為し得る、ひりつくような美しさと緊張感をたっぷりと味わえる。是非お聴きになり、「真に評価されるべきもの」を体感していただきたい、と願うものだ。
FEATURED ARTISTS
Jean-Philippe Viret : bass
Edouard Ferlet : piano
Fabrice Moreau : drums
Antoine Banville : drums
再び降臨した「至上のトリオ」。緊張感と美しさに溢れた超ハイレベルのインタープレイ。VIRET TRIOを超えられるものは、TRIO VIRET+のみ。
結局、世の中は不公平に出来ている。何にスポットライトが当たり、それがどう評価されるのかについては、フェアである、ということは原則あり得ない。殊に昨今のような情報化がなされるようになると、情報発信の段階で、そもそも何が取り上げられるかということについて、大きなバイアスが働く。世間の狭いジャズで、ロビイングもないだろうが、Robert Glasperの新作なら何でも取り上げられる、といったような事はどうしようもなくある訳だ。何が言いたいのか?本当に評価されるべきが、まま置き去りにされる、ということだ。
今回、澤野工房が取り上げたのはJean-Philippe Viretの新作だが、サワノが彼のアルバムを最初にリリースしてから実に20年以上が経過していることに驚いた。時日の飛び去る速さに驚き、その間、この類稀なアーティスト(達)とその音楽が、まともに評価されてこなかった事実に驚く。本邦初登場時のアルバムConsiderationsの段階で、既にその完成度は瞠目するしかないものだった。楽曲そのものとソロの有機的結合、演奏者が一体となって、「作品としての演奏」を作り上げる様は、それまでのピアノ・トリオの歴史を呑み込みながら、更に一歩先んじた極北の音楽だ、と、筆者には思えた。しかし、それに相応しい評価に彼らが浴してきたとはとても思えない。新作は、Viretが組んで来た二つのトリオ(dsのみが入れ替わった歴史だが)がひとつになり、あるいはそれぞれに、かつてのマテリアルも含めて演奏した、言わば集大成的作品だ。
彼らのみが為し得る、ひりつくような美しさと緊張感をたっぷりと味わえる。是非お聴きになり、「真に評価されるべきもの」を体感していただきたい、と願うものだ。
FEATURED ARTISTS
Jean-Philippe Viret : bass
Edouard Ferlet : piano
Fabrice Moreau : drums
Antoine Banville : drums
1.Derives
2.Madame Loire
3.3 joursde treve
4.Pour El Ho
5.Iode131
6.Le batard
7.Par tousles temps
8.Changements
9.Aplus d'un titre
(澤野工房)2022年04月22日発売