ノラ・ジョーンズ以降、審美眼が冴えまくっているブルー・ノートから異色の女性シンガー・ソングライターが登場した。
モロッコのベルベル族出身で、元ルーブル美術館職員という経歴もおもしろいが、デビュー作にしてプロデュースから演奏まで完全自作自演ってんだから驚く。
基本はアコギ中心のシンプルなサウンドながら、ジャジーな曲もモダンというか、ジャンゴ・ラインハルトを彷彿とさせる東西文化の折衷感が濃厚に漂っていて、官能的ながらも後味のスッキリした美声や旋律のオリエンタルな哀愁も血筋に由来するものだろうか。とはいえ、ほとんどが英語詞ということもあって、異国情緒だけに留まらない上質なポップス作品となっている点が素晴らしい。
今後が楽しみになるマルチな才能だ。
[CD]
1.ビューティフル・タンゴ 〜見知らぬ美しい人へ
2.過去
3.魅惑
4.自由
5.キス&スリル
6.アット・ザ・セイム・タイム
7.少しずつ
8.スタンド・アップ
9.ミュージック
10.ドント・フォーゲット
11.オールド・フレンズ
12.トライ <日本盤ボーナス・トラック>
(WARNER MUSIC/ WPCR-50050) 2010年05月05日発売 帯付