1980年3月- 好批評も受けたキーストン・コーナーでのライヴ
ファラオ・サンダースも観客で訪れたというアビーの魂が響くライヴ音源
★ 1980 年3 月11 日〜16 日にサンフランシスコのキーストン・コーナーで行われたライヴをCD 化。2015 年にリリースされた『Sophisticated Abbey』に続く第2 弾。同じ音源からの2 作目という背景は、一般的には、微妙なイメージもありますが、本作には、その心配は杞憂といえます。
★決してレコーディングに恵まれていなかったこの時期。ピアニストのフィル・ライトとオランダで録音した作品はリリースされず、アーチー・シェップを迎えた作品もヨーロッパのみでのリリースに留まった時。しかし、この一週間のアビーは、オーディエンスとも素晴らしい交感あり、その後のコンサート・ブッキングに影響を与えるような高い批評も受けたことも示すように充実したものがありました。
★『Sophisticated Abbey』がある種、穏やかな雰囲気のものなら、こちらは、魂の発露が強調されたパフォーマンス。収録された楽曲には、60 年代、ブッカー・リトル、エリック・ドルフィーをメンバーとしたマックス・ローチのアンサンブルとの共演が記録されている「When Malindy Sings」 のような曲も 。このトラックでは、60 年代当時、オリジナルの9 節中4 節しか歌わなかったポール・ローレンス・ダンバーの詩を、9 節全て歌っていることも注目。また、のちのアビー・リンカーンズ・スタンダードとなり、自身で歌い続ける他、カサンドラ・ウィルソン、またエスペランサ・スポルディングもカバーすることになった名曲 もスピリチュアルに歌唱。切々と語るようなその歌は聴く人の心を揺さぶり、つかむものがあります。
★スティーヴィー・ワンダーの楽曲を好んでいたというアビーは『Sophisticated Abbey』で収録された「Golden Lady」 他、「Love Having You Aroun」も選曲。決してオリジナルのマネに留まることな自らの刻印を残すのが、彼女の彼女たる所ですが、コルトレーンの「Africa」 もしかり。魂を込めた歌は、他の追随を許すところなし、という存在感。これらの歌が、後に続く、黒人シンガーにいかに大きな影響を与えたか、このトラックを聴くと、感じ入ります。
★この一週間のとある日には、あのファラオ・サンダースも見に来たとのこと。朋友フィル・ライトをピアニストに迎えたライヴ・・・最後には、バンドをリスペクトするメンバー紹介も。その場で、彼女がステージ・ネームでなく、本名を語るところも聴きものとなる、貴重なライヴの記録です。(infoより)
Abbey Lincoln(vo), Phil Wright(p), James Leary or Art Washington(b), Doug Sides(ds)
1. Talkin’ to the Sun (A. Lincoln)
2. Love Having You Around (S. Wonder / S. Wright)
3. When Malindy Sings (O. Brown, Jr.)
4. Little Girl Blue (R. Rodgers / L. Hart)
5. Driva Man (O. Brown, Jr. / M. Roach)
6. Living room (A. Lincoln / M. Roach)
7. Rainbow (A. Lincoln / M. Liston)
8. Throw It Away (A. Lincoln)
9. Africa (A. Lincoln / J. Coltrane)
10. Closing Remarks
Recorded at The Keystone Korner, San Francisco, CA (11-16, March1980)
(HIGH NOTE/USA)