同じチャーリー・パーカーの影響を強く受けたテクニカルなクラリ ネット奏者でも、バディ・デフランコのプレイがクールな印象を与え たのに対して、トニー・スコットはあくまでも広い音域を駆使して熱 く吹きまくるタイプでした。
スコットは、50年代半ばにRCAから優れたアルバムを数多く発表し ていますが、これは、ビリー・ホリデイの伴奏者として活動した直後 に渡欧した1957 年、ドイツのシュトゥットガルトで行ったコンサー トの2 曲と、同地の南ドイツ放送局スタジオで録音した5 曲を中心に 収めた発掘盤。 その間、ストックホルムやリュブリアナで録音されたアルバムは出 ていましたが、ドイツでの演奏が世に出るのは初めて。リュブリアナ でも共演していたホルスト・ヤンコフスキーのトリオとの7 曲(その うち1 曲には、4 人の管楽器奏者が加わります)は、「チュニジアの夜」 を聴いただけでもわかるように、スコットの本領が存分に発揮された熱演ばかりで、この時期の彼がいかに充実した状態に あったかを示すものとなっています。
残る4曲は、1959年から65年まで日本に滞在していたスコットが、1962年に香港とシンガポールで残した演奏で、グルー ヴィなブルース、ファスト・テンポのブルース、そしてスタンダードが2 曲という構成。2 曲にはスコット以外にも管楽器奏 者が加わりますが、とにかくスコットのクラリネットが存在感抜群で、東京滞在期の録音がほとんどなかっただけに大変嬉 しい発掘と言えましょう。(infoより)
Tony Scott (cl), Horst Jankowski (p, M1-7) Peter Witte (b, M1-7), Hermann Mutschler (ds, M1-7), Conny Jackel (tp, M7), Gerald Weinkopf (ts, M7), Helmut Brandt (bs, M7), Werner Baumgart (bs, M7), Mario Costalonga (tp, M9), Colin Stuart (tp, M9), Frankie Van Seca (g, M9), Giancarlo Barigozzi (ts, M9.10) For the Singapore recording: (probably) Silvano Salviati (p, M8-10), Sandro Paganucci (b, M8-10), Alfredo Bendini (ds, M8-10)
1. Moonlight In Vermont (Stuttgart) 2. The Man I Love 3. Lover, Come Back To Me 4. You Go To My Head 5. Blues 6. A Night In Tunisia 7. There Will Never Be Another You 8. Blues For Charlie Parker 9. Hongkong Jazzclub Blues 10. All The Things You Are 11. Moonlight In Vermont (Singapore) (M1-5)Studio Recording Villa Berg, SDR Stuttgart, April 24, 1957 (M6-7)Live Recording Liederhalle Stuttgart, April 23, 1957 (M8-10)Live Recording City Hall, Hong Kong, spring 1962 (M11)
Live Recording Singapore, unknown venue, 1962
(JAZZHAUS / GERMANY)