90年代初頭からデンマークの代表的レーベルStunt からリーダー作をリリース。一方、ジャコ・パストリアスの晩年の作品『ナイト・フード』や、アンダーシュ・ベルグランツの作品に参加するなど、着実なキャリアを築いてきたトーマス・ハースの静かな個性が貫かれたリーダー作品。
一言でいえば滋味、思慮深いカルテットの美しさがいぶし銀のように印象的な演奏。トーマス曰く、「本作は、長年抱いてきた特別な思いを、9つの作品を通して表現しようとしたもの。それをバラードであるとか、メランコリックな音楽と表現されるかもしれないけれど、自分にとっては、もっと深い内面の世界を描いたものになった」、とのこと。参加メンバーとも長年共演を重ね、作品の企画も温め続けてきたとのことですが、ここには、そうしたアーティストの思いと音楽観が結実したものがあります。
ピアノ・トリオをバックにしたカルテット演奏というと、スウィンギーなものを思い浮かべることも多いですが、ここでは、ドラムの音も極めて控え目。メンバーが音を重ねあげて描き上げる演奏は、ジャケのように水彩画のような重なりを感じさせるところあり、それぞれのメンバーの個性-色彩-を大切にして、重層的な音によって、豊かな空間を描き上げていきます。
デンマーク出身者らしく、伝統的であって、北欧の風合いも美しくゆったりと掛け合わせた作品。そうした中であるだけに、スウィンギーなリズムをフィーチャーした3曲(M-3.5.8) も新鮮。オリジナルのコンポジションも世界観に満ちたもので、ジャズの豊かさを感じさせてくれる作品です。(infoより)
Thomas Hass(ts & ss), Nikolaj Hess(p), Lennart Ginman(b), Frands Rifbjerg(ds)
1. Angel Park(Thomas Hass)
2. Gimbo(Wayne Shorter, John Coltrane, Thomas Hass)
3. Short Free(Lennart Ginman, Thomas Hass, Frands Rifbjerg)
4. Anti – Freeze(Thomas Hass)
5. Lotus Energy (Thomas Hass)
6. Bibo Bo Aozora(Ryuuichi Sakamoto)
7. False Waltz(Thomas Hass)
8. Clark’s Heavenly Blues’Thomas Hass)
9. Come Rain or Come Shine(Harold Arlen)
(STORYVILLE)