それぞれの3つの個性である、ベース、ピアノ、ドラムスが結合され1つの音を形成し、やがて“音の渦”となり大きなうねりとなる。そこにはひた向きな哀愁、寂寥感、躍動、独創性、一種相反する様々な感情が渦巻き、1つの方程式となり、緻密に計算され独自性を発揮する。それが気持ち良いほど脳幹を刺激する。
リーダーのベーシスト、ネジン・ハヴァネシアンは6歳よりヴァイオリンをはじめ、ダブルベースへと転向。ベーシストの素質は第一に音程が命。それを結実させるためには運指(左手の動き)が重要なものとなる。これがかなり厄介で的確にそのポジションをとらえなければならない。その鍛錬が聴く者を圧倒し心の奥底まで入り込みやがて全身を刺激する。
このトリオ、楽曲の全てをオリジナルで澤野に挑んできた。
まずは、Tr,1『Seven Seals』を。自然と心の琴線に触れるはずである。シンバル、ピアノ、そしてアルコでのベース、一瞬の隙も見せず迫りくる感情と旋律はこのトリオの統一感を体験するにはうってつけのトラックだ。Tr.5までネジンの独自性がひた走りTr,6ではピアニスト、ソラーによる清涼感たっぷりの曲で一息、この押さえつけられない感情は何だ?Tr.9までの躍動と疑念。これが澤野の目指すものなのか、また新たなる扉が開かれた。
Text by 足立 豪樹氏 (infoより)
Nesin Howhannesijan(b) Kelvin Sholar(p) Ernst Bier(ds)
1.Seven seals 2.Circles 3.Ballad new 4.Sonocore 5.Monolyth 6.Gyptis 7.Homecoming
8.1915 9.Stereotype threat
(澤野工房) (2011年10月22日発売)