イタリアから春の嵐のような音が届いた。突風のように吹き荒れるTony Arcoのハード・バップ・ドラミングをベースに、Cues Trioとして、またDave Rievemanにも押されているピアノの
Roberto Tarenzinoの色香漂うフレーズがその上を舞う。混じり具合がいい。Enrico
Pieranunziにも学んだそのピアノ・タッチは欧州と大陸の中間に位置するか、アグレッシブさと技術は言うまでもなく、(1)の導入からグイグイと前を突っ走った後に(5)でその片鱗を見せる。狂おしい叙情をさらりと表現、ここでのしなやかにうねるベースとの絡みに酔い、イタリア・ジャズの奥深さ、魅力を感じ取る。かなりの出来だと思う。