令和サワノジャズ始動! 若き才能が奏でる懐かしも新しい次世代ジャズ。 ハンガリーのピアニスト、ミクロス・ガニが新たな扉を開く。
ヨーロッパのピアノトリオを中心に作品を重ねる澤野工房。その名を聞きつけ、自ら売り込んできたのが、 本作の主人公、ミクロス・ガニだ。このハンガリーのピアニストは、数多い売り込みの中、サワノの目にとま り、2017年に『Beyond the Moment』(AS157)でデビューを飾った。
その一作目の北見柊氏によるライナー ノーツの中で、サワノにとってのミクロスは、プロ野球でいう「育成枠」に例えられた。デビュー盤のお題は スタンダード。「枯葉」「いつか王子様が」といった有名曲で、どこまで“輝けるか”がテーマになっていた。
そして2019年、晴れて育成を出て、初めて披露されるのがオリジナル曲であり、新世代らしいカバー曲だ。
(1) は自作のピアノの巨人へのブルース。(2)はクラブっぽい細かいビートの曲。(3)は東欧の哀感がにじむサイモン &ガーファンクルのカバー。この(1)〜(3)をどう捉えるか?が、この作品の聴きどころだと思う。曲の雰囲気は それぞれ違っても、ミクロスの自然体のジャズとして響いてくる。自作曲(4)もエキゾチックでいいし、ス ティーヴィー・ワンダーの(6)は、ピアニストのメランコリックな美しさが存分に出たもうひとつの聴きどころ。 最後の2曲はスタンダード。(8)のやるせなさはどうだろう。ピアノソロの(9)は、いいアルバムを聴いた……とい う余韻を残す。
ふむ、ここまで扉が開かれると次作はどうなるのだろうか?(気が早い!? まずはじっくりと本作をお楽しみく ださい)
Miklós Gányi - piano
Péter Oláh - bass András
"Pecek" Lakatos - drums
01. Blues for Monk 02. Don't You Worry Child 03. Sound of Silence 04. Tango 05. Rhythm -Luap Yelb- 06. Ribbon in the Sky 07. I Can't Help It 08. I Fall in Love Too Easily 09. Stella by Starlight
(澤野工房) (2019年6月21日発売)