'『静寂』と『躍動』が織り成す中でそこはかとなく漂うサウダーヂ。
若手実力派を従えた俵山昌之の会心作!
今、1980年録音の益田幹夫アコースティック・トリオアルバム『枯葉』を聴いている。俵山昌之26歳の初々しい初レコーディングだ。
当時、私は『安定したリズム感、正確なピッチ、胴なりするサウンド』どれをとってもジャズ・ベーシストにとって必要不可欠な資質を兼ね備えたプレイヤーが現れたものだとえらく感心したと同時にリリシズムあふれるプレイを信条とするリーダーの益田幹夫らしい人選に思わず頷いた。
あれから20数年、派手さはないもののその堅実なサポートぶりの故かたくさんの一流ジャズメンからこコールを受けている。
あらためて紹介しよう。俵山昌之は1963年生まれ、東京都出身。中学生でギター、高校生よりエレキベースを始め、ウッドベースに転向してからはライブハウスなどで活動を開始、『枯葉』の録音後は多くのジャズミュージシャンより注目を集め渡辺貞夫、ケニー・バロン、山下洋輔、日野元彦、大西順子、五十嵐一生、岡淳と共演。有名なのは『ルパン・ザ・サード』で大人気を博した大野雄二トリオのレギュラー・ベーシストとしての活躍や、盟友納屋嘉彦のサムライ・ビバップ・トリオ、福井ともみクインテットにも参加だ。自己のユニットでは本作のTOWER STATION(タワーステーション)で活躍中である。
このユニット名の由来はタワー(俵山のタワ)ステーション(駅または拠り所)と聞いている。あの未曾有の大惨事、東日本大震災が起こった時、ミュージシャンとして復興のために何が出来るかを考えていた時に【音楽で皆を元気にしよう!】と思い立ち、それに賛同したメンバーと結成したとのこと。ということもあってかアルバム全編はほぼ彼自身のオリジナルで構成され、サンバやボッサのリズムに乗せて時に軽快に、そして情熱的に、または優しくとまさに俵山ミュージックの聴き手の心のステーション(拠り所)となっているところが素晴らしい。
収録曲はソロ、トリオ、カルテット、クインテットと応じて新進気鋭のミュージシャンが彩りを添えている。知工健一郎氏(ライナーより)
俵山昌之(b): http://tawachan.blog.so-net.ne.jp/
福井ともみ(p): http://www.fukuitomomi.com/
藤井学(ds)
市原ひかり(tp): http://www.hikari-ichihara.com/
纐纈歩美(as): http://a-koketsu.6.ql.bz/
太田朱美(fl): http://www.geocities.jp/akemi_flute
1. Morning in Rio
2. Tower Samba
3. 風の詩
4. So Many Stars
5. Night Flight
6. 素晴らしき夢
7. Oriental Walk
8. Berimbau
9. The Peace Song
(URBAN JAZZ一期一会)(2013年5月15日発売)