★今作『Beyond This Place』は、モダン・ジャズの最前線で、60年以上活躍してきたケニー・バロンの音楽世界のすべての要素を包含した一枚となっている。2023年、アートワーク・レーベルからの初アルバムであるソロ作品『The Source』でグラミー賞にノミネートされ、今作は前作の雰囲気とは一線を画したプロジェクトである。
★今作は、ホーギー・カーマイケルが作曲したスタンダードナンバー「The Nearness of You」で始まる。スティーブ・ネルソンを除いたカルテット構成で演奏され、イマニュエル・ウィルキンスのサックスは決して無色になることなくテーマを愛撫し、バロンは常に素晴らしいピアニスティックな技巧を披露している。また、ウィルキンスとのデュオでアルバムの最後を締めくくる「We See」(セロニアス・モンクの名曲)で、バロンはモンクの快活さと遊び心を表現しながら、モンクの角張ったスタイルをはるかに超え、彼への恩義を隠すことなく、ここでそれを示している。
1. The Nearness of You
2. Scratch
3. Innocence
4. Blues on Stratford Road
5. Tragic Magic
6. Beyond This Place
7. Softly As in a Morning Sunrise
8. Sunset
9. We See
メンバー:
Kenny Barron (piano), Immanuel Wilkins (saxphone), Jonathan Blake (drums), Kiyoshi Kitagawa (bass), Steve Nelson (vibraphone)